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タシロ3代目社長の田城功揮さん=2025年2月19日、神奈川県平塚市入野、足立朋子撮影

 慢性的な人手不足に悩む町工場が多いなか、神奈川県平塚市の精密板金・切削加工「タシロ」の求人には年300人もの応募があるという。従業員20人弱の町工場に何が起きたのか。

 3代目社長の田城功揮さん(32)は2019年、大学卒業後3年弱働いた人材紹介大手を辞め、祖父が創業した町工場に入った。当初は家業を継ぐ気はなく、将来の自身の起業までのつなぎのつもりだった。

 だが、そこで直面したのが、空前の人材難だった。

 自動車部品製造で創業し、精密板金を手がけてきたタシロ。父の裕司さん(63)の時代に高性能の工作機械を導入し、顧客の求めに応じて指先ほどの自動車部品から桟橋のフレームまでを受注生産してきた。

 顧客を回って、製品の質や納期などへの満足度が高いことに安堵(あんど)したが、祖父や父を支えてくれた工場長の悩みは別にあった。求人を出しても応募がほとんどなく、従業員の7割を外国からの人材に頼り、技術の継承に不安を抱いていた。

 求人への応募理由も「近所だから」などが多く、肝心の「モノづくりに興味がある」人材を集められない。何とか採用にこぎつけても1~2年でやめてしまう。

「風通しの良い職場」になる秘策は

 現場が求める、未経験でもスキル向上に意欲が高い若手を集めるにはどうしたらいいのか――。

 前職の人材紹介時代の経験を…

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